あなたの形にはなれなかった(虚妄文)

 

矢花くんに失恋したい。

 

去年の夏に矢花担になり、日々矢花くんの魅力にのたうち回っているわたしの虚妄の行きつく場所は、何度考えてもそれだった。

クラス替えで矢花くんの名前を見つけてときめきたい。でも、いざ隣の席になってみたら、普通に彼女の話をされて失恋したい。矢花くんと同じ軽音部に入ってギターを教わりたい。でも、文化祭で他校のかわいい女の子に手を振るところを見て演奏中に失恋したい。同じサークルの矢花くんと紆余曲折あって無事付き合って結婚したい。でも、どうしてもやりたいことがあるんだ、俺は不器用だから大事なものは一つしか抱えられない、って伏し目がちに告げられて離婚届をテーブルの上に置かれたい。

たぶんこれは、「矢花くんと付き合いたい」という純粋なリアコ人格と「矢花くんの人生を自分のものにするなんておこがましい(できないのはわかってるけど!)」という謎の人格が変な感じで組み合わさった結果だと思うのだが、それはさておいて。

 

2020年6月2日、火曜日。

矢花くん(と小川くん)が、とんでもない(褒めてる)動画をIsland TVにupした。

 

 

どれくらいとんでもないのかは、実際に見ていただくのが一番だと思うので特に述べないが、とにかくとんでもない。それを見たわたしのツイートがこちら。

 

 

 

 

 

推しの動画が上がったらとりあえず何回か見て、スクショして、Twitterでスクショ貼りながら呟いて、というのがいつものわたしのパターンなのだが、それすらままならなかった。リアルに動悸が止まらなくて、死ぬのかな?と思った。マジで。

バイトを挟んで数時間後に二回目を見たときも息切れしたので、これは見たらだめなやつだと判断した。でも見たい。どうしたら見られるかなと思ってもうひとりの推し・将聖くんの写真を見てから再生してみたけど、かわいさとの落差で余計しんどかった。もうだめだ、カメラロールにある矢花くんの写真だけで息が止まる。

よし、この前の弾き語り動画でリハビリしよう。

写真を見るだけでやっとなのに、どうしてそんな自ら死地に赴くようなことを…と思わないでもないが、そのときのわたしは「『Share our heart 』なら幸せなラブソングだから癒しになるぞ」とでも考えていたのだと思う。

で、その流れで「PASSWORD」も聴いて、それから気づいた。

 

 

「PASSWORD」で強引に暴かれたあと「Share our heart」で愛をあたため合って、わたしは矢花くんと幸せになったはずだった(虚妄)*1。でもここにきての「Master Key」ってめちゃくちゃ不穏じゃん…………。

 

というわけで、止まらなくなった虚妄をブログにしました。最初に書くのは沼落ちブログのはずだったのに。

 

 まず「PASSWORD」。ここから矢花くんとわたしの関係は始まったんだな…(虚妄)。

先に述べておくが、これは弾き語りではなく矢花くんが「ベースを聴かせたい」という目的でupしてくれた動画である。

 

 

ここでポイントになるのが、「矢花くんは歌っていない」つまり「言葉にはしていない」ということ。虚妄においてもこれを生かしていきたいので、矢花くんのこの感情をわたしは知らないという前提に立つ。ついでに弾き語る矢花くんクソしんどいのでバンドマンの矢花くんが謎の美女(?)に片思いしているという設定。わたしは美女になりきるけど、読んでいるあなたも美女になってくれてもいいし(???)通行人をやってくれてもいいです(?????)。

 

ここでサヨナラ拒んだくせに

重ねたグロス 気づいているよ

腰を抱いたら 溶け出しそうな

潤んだ瞳 君のSignal

 

二人きりで片思いの相手と会う矢花くん。サヨナラを拒む相手に、矢花くんはたぶん優しい声で「明日も早いからもう帰らないと」って言うけど、心の中で「気づいているよ」と囁く。キスをしたときに他の男の匂いでもしたのかな……。

後半にあるように最初は行きずりのつもりだけど、もう引き返せないところまで来ている。だから女は腰を抱かれて「溶け出しそうな潤んだ瞳」で矢花くんを見る。彼はそのSignalに気づいているのに、言葉にはしてくれない。

 

Wow wow wow wow wow wow

Hey baby what it that for?

Wow wow wow wow wow wow

Please tell me what do you want?

 

直訳すると「何のために?」「何が欲しいか教えてくれないか」というような意味になるので、自分に縋るくせに他の男の気配を漂わせる想い人に戸惑っていることが読み取れる(虚妄)

 

花びら解いていくように

Dressの奥を暴きたい

リビドーのまま抱き寄せて口づけて

引き返せない夜をはじめよう

声にならぬ溜め息で啼いてみて

手と手絡め Dancing in the night Oh

 

リビドー(衝動)のままに口づける二人。

矢花くんは相手の気持ちがわからないけど、矢花くんも口に出さないから相手も彼の気持ちはわからない。お互いの気持ちを隠したまま抱き合って一晩を過ごす。

 

君の理性 閉ざすDoor

解き明かして PASSWORD

本当も嘘も 名前も過去も

脱ぎ捨ててみな 窮屈だろ?

理由も意味も 後付けでいい

今は感じて 僕のSignal

 

それまでは決定的なことは何も言わず、自分の感情は押し殺していた矢花くんが「今は感じて」と(声に出していないとはいえ)言っているのがやばい。相手が何者だとしても、何を考えていたとしても、とにかく「今は感じて 僕のSignal」。

 

Wow wow wow wow wow wow

Hey baby what it that for?

Wow wow wow wow wow wow

Please tell me what do you want?

余所行きのMask外して

核心突いてあげるよ

 

さっきと同じ問いかけも、「核心突いてあげる」という挑戦的な一言で、一気に戸惑いから確信へと色を変える。おそらく夜を過ごしたことによって、相手の気持ちが自分に向いていることを矢花くんが理解し、美女が矢花くんを振り回すという構図が逆転。

 

トリガー引いて てっぺんまで撃ち抜いて

誰も知らない君へ導くよ

子どものように欲しがって 夜明けまで

鼓動重ね Dancing in the night Oh

本当の君 隠すDoor

弾き出して PASSWORD

 

さっきとは打って変わって強気な口調。「誰も知らない君へ導くよ」っていうのが、女が漂わせていた他の男の気配への当てつけだと思うとしんどいofしんどい(虚妄)

 

はじまりはそう 行きずりの愛だって

胸に宿った熱は 消えやしない

手を離せば 別々の朝だって

必ずまた求め合う

リビドーのまま引き寄せて 揺れてみて

僕だけが知る 君のPASSWORD

望み通り何度でも 解除して

触れてあげる Dancing in the night Oh

 

ダメ押し!!!!

別々の朝を過ごすものの、相手の気持ちが自分へ向いていることを確信した矢花くんは、他の男のことなど一蹴して「僕だけが知る」と言い切る。

「望み通り」と言っている通り、相手が本心では暴かれたいと思っていることを理解しているし、何度逃げても「触れてあげる」。「何度でも」と下手に出ているように見せかけて、完全に女が矢花くんの手のひらの上。

 

君の理性 閉ざすDoor

解き明かしてPASSWORD

本当の君 隠すDoor

弾き出してPASSWORD

 

この中では二人がどうなったのかがわからない。

しかし、このあとに弾き語りの『share our heart』がupされる。

 

 

ここまで読んでいる人は相当暇だと思うのでとりあえずこれを聴くんだ(暇じゃない人はブラウザバックがおすすめ)(ここから先も何の生産性もない文章が続くよ)。

 

さて、前回どうなったのかわからないまま幕を閉じた二人の関係性。

 

朝焼けが涙ごと包んでいく

すれ違う昨日ごと 洗い流してくれるように

 

えっ…………幸せになってる…………。

他の男のところに行ったり、本心を伝えなかったりしていなかった二人が、穏やかな朝焼けに包まれているなんて…。しかも矢花くんは「弾き語り」をしている、つまり、「声に出して気持ちを伝えている」。すれ違っていた昨日のこと、いろいろな誤解をちゃんと言葉にしようって言ってくれてる…(虚妄)

 

不器用な言葉よりも つないだぬくもりで

また強くなれそうさ

そばにいる それだけでやわらかな気持ちになる

今も これからも

 

言葉にしなかったことですれ違った二人だから、「不器用な言葉」なんかよりも「つないだぬくもり」を大切にしたい。ここでいう「ぬくもり」は夜を過ごすみたいな短絡的なことではなくて、手を繋いだり触れあったり、むしろ身体的接触がなくても感じられる精神的なぬくもり。駆け引きをしていた矢花くんは相手のぬくもりを感じて、強くなれそうだと笑う。めちゃくちゃ穏やかで優しくて砂糖菓子てんこもりか?みたいな笑顔を浮かべてる(虚妄)

何よりも、相手を振り回すばかりだった二人が、そばにいることで「やわらかな気持ち」を感じているのが幸せな証拠。ついでに「今も これからも」ってナチュラルに未来を縛ろうとする矢花くん。

share our heart

心ごと分け合えるなら 他に何も欲しくはないさ

君の夢も抱いて

 

バンドマンで大きな夢を抱いている矢花くん(設定)が、自身の夢だけではなくて「君の夢も抱いて」と歌う。めちゃくちゃ幸せだしめちゃくちゃ良い彼氏だな…。

 

sharre our heart

同じ未来を見つめてたい

終わることのない旅でも

あたため合う愛を share our heart

 

ハッピーエンドですね!!!!愛をあたため合って二人で幸せに暮らそう!!!!!!おしまい!!!!!!!!

って言えた。2020年6月1日までなら。

でも矢花くんが『Master Key』を歌ってしまったので、不穏まっしぐら。

「他に何も欲しくはないさ」って歌っておきながら「君の夢抱いて」って自分の夢を諦められない矢花くんだから、亀裂が入ってしまった原因はきっとそれだね…(虚妄!)

今回は小川くんとのセッションなので、他の男=小川くんということで、歌には矢花くん目線だけではなく小川くん目線も入ってくる。ドロドロだね!他の男は任意で思い浮かべてもらってかまいません(?)。

 

くちづけ交わしたら はじまった

目覚めても 側にいたいね(小川)

 

出だしから他の男と関係を持っている。矢花くんが好きになってしまった相手、とんでもないな。

 

Kiss is a master key,

unchained melody,

endless ecstasy

cause I love you

Kiss is a master key,

unchained melody,

endless ecstasy love(二人)

 

ここを二人が背中合わせで歌っているのが、一人の女を巡るドロドロの三角関係の始まりを予感させる。関係ないけど矢花くんの上ハモめちゃくちゃ上手くて何回聴いても死ぬ。

 

誰かのつづきを 探しているらしい

北風のせいで 気持ちは感じやすい(小川)

 

幸せだったはずなのに、他の男で矢花くんのつづきを探す女。たぶん矢花くんのバンドが売れ始めて忙しくなってあんまり会えなくなったあたりで、昔の男に出会ってしまったとかそんなところ。

 

もうこれ以上 悲しまないで

I can do now? 呟いた時(矢花)

 

悲しませたくない矢花くん。でもバンドという夢も捨てられない。他に何もいらないって言ったけど、やっぱり諦めることはできない。俺になにができるだろう?女に届かない呟き。

 

思わず僕は 見え透いた その場しのぎのキスで

違う鍵穴とわかり 君をこじ開けた

それから 夜の闇 他には何もなくて(二人)

 

矢花くんという彼氏がいながら、他の男に身をゆだねる彼女。浮気相手も矢花くんも女とキスをして「違う鍵穴」だと感じる。矢花くんは以前と変わってしまった彼女に違和感を覚え、浮気相手は彼女が矢花くんを想っていることを知る(加速する虚妄)

 

二人だけの部屋 やさしさで(小川)

 

与えられるものはやさしさだけだと歌う浮気相手(小川くんごめんなさい)。

 

そっとドアをしめた(二人)

 

浮気相手からも彼氏からも取り残される女。失恋の匂いがしてきたぞ……!

 

祈りのように 抱いたのに

包まれていくように

君の胸の中 深くに 僕は沈んだ(矢花)

 

関係性が変わってしまったことに気づいている矢花くんは、駆け引きとして過ごした夜や穏やかな幸せの中で感じたぬくもりを想いながら「祈りのように」彼女を抱く。このときの矢花くんの歌い上げる表情が切なくてエロくて死ぬ。「切なさ」と「エロ」をあんなに表情で表現できるひとをわたしは他に知らない……。

二人でぬくもりを重ねるのではなく、「君の胸の中」に矢花くんが一方的に「沈んだ」。沈むというと、暗い沼などが連想される。ずぶずぶと落ちていく。明るい未来が見えない。失恋の匂いしかしない。

 

心が開いたのに キスをやめられなくて
二人だけの部屋 吐息で
窓ガラスがくもった(小川)

 

だからといって浮気相手と幸せになれるのかというとそういうわけでもなく、心を開きかけた女が、それでもやっぱり矢花くんを忘れられないことを知り、かき消すようにキスをする。くもった窓ガラスも暗い。失恋……。

 

思えば君は 受け止めた 唇で確かめて

同じ鍵穴に変えて 僕を受け入れた

なおさら 夜の闇 他には何もなくて(二人)

 

浮気相手を「同じ鍵穴に変えて」受け入れたのは寂しさを紛らわすためだったとしても、矢花くんも女が「僕を受け入れた」と歌う。つまり。

彼女の鍵穴はもともと矢花くんの形をしていなかった。二人は出会って恋をしてつかの間の幸せを手に入れたけれど、それは彼女が「同じ鍵穴に変えて」受け入れたからであって、二人はパズルのピースのようにぴったりはまる存在ではなかった。だから、矢花くんが夢を追いかけてほんの少しよそ見をしただけで、夜の闇のように、「他には何も」なくなってしまった(虚妄が止まらない)

 

二人だけの部屋 ぬくもりで

そっと鍵をかけた(小川)

 

彼女は結局浮気相手が鍵をかけて閉じ込めるための偽りの「ぬくもり」を選び、矢花くんのもとからいなくなる。

 

Kiss is a master key,

unchained melody,

endless ecstasy

cause I love you (矢花)

 

まだ彼女を忘れられない矢花くんは、「つながらないメロディー」=かけてもつながることのない番号に電話をかけつづける。部屋の片隅に置かれたベース。二人でしたキスの思い出。虚しく震えるスマートフォン。いつまでも続くように思われたエクスタシー。

彼女はどうしても矢花くんをブロックできないまま、電話がかかってくるたびにスマホを見つめる。矢花くんの形にはなれなかった自分。いつもどこかいびつだったキス。

 

Kiss is a master key,

unchained melody,

endless ecstasy love(二人)

 

こうして二人は少しずつ互いを忘れたふりをして、けれど時折思い出しながら生きていく……(虚妄)

 

 

酷い。あまりにも、虚妄が過ぎる。ひどい。

でもストーリーがわたしのなかで出来上がってしまい、どこかに吐き出さないと死ぬと思ったので書くしかなかった。矢花くんはこの男に失恋したいランキングわたし部門堂々の第一位だから仕方ない。

他の男と人並みに恋をするけど矢花くんに未練ありまくるせいで幸せになれない人生を過ごしたかった。以上です。

 

(たぶんいないと思うけど)最後まで読んでくださった方、お付き合いいただきありがとうございました!!!!!なんかほんとすいません!!!!!!!!Master Key聴いて~~!!!!!

 

 

 

*1:矢花くんは「White X'mas」も演奏してるけどあれはどっちかといえば和田くんをメインにしたいのかなと思うので今回は置いておく